まずは、このリンクの動画を見てほしい。
https://m.facebook.com/story.php?story_fbid=1417964525223670&id=100010304078798
これは先日、長野でスケッチをしていて、初めて友人の協力で、絵を描く過程を
タイムラプスで撮ってもらったものだ。
タイムラプスとは、長時間の動画を数十秒ほどにまで圧縮してくれるカメラの機能だ。
初めてやってみたので、手元がブレブレで、だいぶ見辛くはなったが、絵が出来ていく過しっかり撮れたと思う。
何気なくやってみた試みだったが、これがとても楽しかった。
と、同時に
これは非常に使える、
と思った。
その理由を3つ紹介しよう。
①人に自分の仕事を分かりやすく伝えられる。
絵描きというのは、なかなか他人に理解してもらうのが難しい仕事だと思う。
例えば、作品だけばっと見せても、そこにどれだけの熱量と、苦悩と、試行錯誤があったかなんて、その完成された絵からは想像するのは困難だろう。
しかし、タイムラプスを使って自分の姿を記録しておくことによって、自分の仕事の過程が如実に浮かびあがり、見る人は、画家の仕事を目に見えて理解することができる。
さらに、数十秒に圧縮されているから、飽きることなく、その変化を追うことができるだろう。
②撮影方法を工夫して効果的なアピールができる
※実際に長野県千曲市の旅で神社の境内にてスケッチする様子
タイムラプスは、ただ手元を写すだけでなく、
どんな画題を、あるいはどの作業を、どのような距離や角度で撮るかを工夫することで、より自分の仕事を明確にアピールすることができると考える。
例えば、彫刻家であれば釜に入れる作業や、鍛金の作業を撮ると、とても迫力があって面白いと思う。
同じように、私のような絵描きは風景をスケッチするから、
実際の旅のスケッチの様子を定点観測のように、少し遠目にカメラを設置し、
風景とともに、描く様子を撮れば、そこの景色や風や、せせらぎや空気も一緒に伝わって、より臨場感を醸すことができるだろう。
自分の制作を客観視できる
ここまでは、タイムラプスの動画を他人に見せる上でのメリットを語ってきたが
最後は自分自身にとってもかなり良い効果があることをお伝えしていきたい。
わたしが絵描きとしてもっとも悩むのは、自分の絵が果たして、
進んでいるのか?それとも退化しているのか?
そこが見えてこない、わからないという点にある。
絵描きは、自分の求めるイメージを追及していくが、その追及の過程では、無我夢中のため、暗い夜道を手探りで歩いている感覚とよく似ている。
だからこそ、長時間、ああでもない、こうでもないと修正を重ねて、わけがわからなかなることも少なくない。
しかし、タイムラプスは、その試行錯誤の過程も一瞬でとばして、最終的に「良くなっている」という事実をしっかり見せてくれる。
だから、あの右往左往していた時間も、しっかり完成に向かっていく過程だったのだと、自分自身を勇気づけてくれる。
そういう意味で、タイムラプスは、とても自分の仕事に自信を持たせてくれるのだ。
と、いうことで
わたしは、これからスケッチするときは、毎回この機能を使い、皆さんにその様子をお届けしたいと思っている。
がむしゃらにとにかく描いていただけのアナログ人間の私にとって、客観的にタイムラプスを使って、自分の仕事を
「見える」化
することは、大いなる革命だ。
それによって、自分の画業、すなわち
「風景を見つけ、描く旅」が、
ひとりよがりではなく、だれかと共有できる体験になるのではないか。
そんなことを考えながら、次回の撮影に想いを馳せるのだ___。