冬の奈良を訪ねて__古(いにしへ)の旅__ 2023年1月3日 ・ 「夜の寺」 ・ 地蔵通りに向かう境内を見下ろす石段が好きだ。 左右には杉木立のなかに福徳大神様の苔むした花崗岩の鳥居があり、その奥の杉木立の葉の間から三日月がのぞいている。 左側には慈母観音と地蔵菩薩が心静かに微笑んでいらっしゃる。 慈母観音の衣紋や肩の丸い線、表情のきりっとした口元、鼻のラインが夜の闇と燈のなかで... kururi
《旅の風景画と詩》 早春の京__祇王寺__ 2021年6月13日 ・ ・ ・ ・ ・ 奥嵯峨野、滝口寺と並ぶように建つ尼寺、祇王寺。早春の苔寺にはぽつりぽつりと落ちる紅色ー。その鮮烈な印象は今も脳裏に焼き付いているーー。 《紅落つる》2021・ ・ fallen crimsonsF6号岩絵具、麻紙 ・・錦のように鮮やかな幾層もの緑が織り成す苔むす庭、春の祇王寺。光の粒が、苔の細かい茂... kururi
冬の京をゆく__奥貴船 古事の森にて__ 2021年1月23日 貴船山雪 スケッチ(部分) 年始の貴船神社は奥宮まで人が賑わっていた。 5年前に来た頃と比べると、貴船神社付近には随分新しい茶店やもモダンなカフェもでき、随分観光地化してしまった。 芹生方面も去年の大型台風による甚大な被害により、未だに閉ざされたままだ。あちらこちらに残る倒木、斜めに曲がった幹。かつての美林の姿を想い、... kururi
風流の里鷹ヶ峰、光悦寺にて 2021年1月8日 ・ 《光悦墓所》スケッチ F4 7年前。大去庵から眺めた鷹ヶ峰の美しさが忘れられず、再び光悦寺を訪ねた。 美しいと思ったが、あのときほど感動はしなかった。やはり、同じ場所を訪れても、そのときの自分の心のありかたによって風景の感じ方は変わる。 以前は気付かなかった場所に出逢ーー。 大去庵をあとにし、冬のあたたかい鈍い光に... kururi
冬の旅ー凍夜ー 2020年12月18日 凍夜 2020 麻紙、岩絵具 しんとした真冬の夜の森。黒々とのびる木々はうっそうとして不気味な生き物にも見える。 その梢の先に月はひと際まばゆく照り、凍てつく空気のなかに溶けていた。... kururi
冬の旅・東北_霜光の朝_ 2020年12月5日 【霜光の朝 】 SMサイズ 岩絵具・麻紙 真冬の東北を訪ねた。 雪が降らない、みぞれや冷たい雨が降る関東の冬は、ぶるぶると芯から身を震わせ、耐えられない寒さを感じる。 一方で大雪に見舞われる東北は、寒いというより、頬にあたる風が冷たくてどこか気持ちいい。 私はそんな雪にさす少しだけあたたかな朝陽などが、いっそう心地よく... kururi
郷愁の灯 2020年10月23日 《郷愁の灯》F4 紙本彩色 たまたま情報誌の表紙で見た写真の風景が忘れられなかった。 イングランドの小さな島。ウイスキーの醸造所がひしめくアイラ島。潮の匂いと、もの寂しく、冷たい空気と海風。その夕暮れ。岸壁の醸造所は海に向かって静かに立つ。 夜を告げる暗い空に向かって細くそびえる煙突。窓からもれ出る小さな灯。 何故だろ... kururi
神宿る土地__長野__ 2020年10月18日 《風吹きて神宿り》 スケッチ・水彩 長野は山々や、木や土の自然に神性を感じる土地だ。 標高の高い山に四方を囲まれた長野盆地。その自然、山々を象徴するかのように、地域の至るところには、古木、老木をそのまま持ってきて用いる意匠が多く見られ、 ご神木の考えがもっとも身近に感じられた。 そこには人の手の入らない自然をそのまま生... kururi
旅の記憶と詩ーサンフランシスコー 2020年10月6日 ドロレス・パーク 2020,9 紙本彩色 霧の街といえば、ロンドンだろうか。 わたしは、サンフランシスコだと思う。 真夏だというのに、街は朝夕信じられないほど冷えて、冬じゃないかと思うくらいだ。 ダウンが必要なくらい、海風に凍える。 アルカトラズ島は、分厚い霧に覆われ、身を切るように渦巻く寒ざむしい海の色は暗い。 そん... kururi
旧き街をゆく_シャルトル_ 2020年9月21日 《奥まる壁》 “The secluded wall” ・パネル 油彩 220×160㎜ シャルトル大聖堂の有名な“シャルトルブルー゛のステンドグラスは美しかった。 今まで見てきたそれとは比べものにならない深みのある色合いと輝き。 特に、マリアの衣などは、シャルトルブルーと呼ばれる青の色彩に包まれ、暗闇の中くっきり鮮やか... kururi