岩絵具の基本

岩絵具は粒子の荒さによって番号が別れている。そして、基本的には番号が上になればなるほど粒子は荒く、色は濃くなっていく。

たとえば、これは同じ薄水色だが、右は13番、左は10番である。

ラベルの下の部分から顔料の色を確認してらしい。どちらが濃い色に見えるだろうか?

そう、左だ。番手も上だ。岩絵具の色と番手は基本的にはこのような仕組みになっている。

晴れた空よりも曇天が似合う

まず岩絵具は基本的に渋い色が多い。

こんな感じのビビッドカラーもあるにはあるが

このような油絵の具などの蛍光塗料にあるような、色はない。

だから、鮮やかな晴れ渡る空とか、木々や葉の光りかがやくイメージは表現しづらいが、曇天や雨の風景などの鈍いイメージは出しやすいのだ。

例えば、こういう眩しい光の中の明るい黄色っぽい葉の色をあらわす岩絵具はないけれど、

こんな、かんじで、ひとつもやがかったような風景の色が多い。

湿潤で空気が霞んで、風景の彩度が低い日本の風景にはとても合っているとも思う。

岩絵具の質感がもっとも映えるモチーフ

岩絵具は、粒子が細かい薄い色の顔料も美しいのだが、岩絵具の真骨頂は、キラキラした荒い粒子の輝きにあると思う。

見辛いが、キラリと光る粉末が確認できるだろうか。

日本画で風景を描いて感じたのだが、

このような荒い岩絵具の風合いが最大限生かされるのは、空や木や自然物よりも、建物である。

それも、特に

歴史のあるあせたような色が重なったような教会や煉瓦や石造りの建物や、鈍いコンクリートを描く場合がいい。

理由は、絵肌のマチエ-ル(質感)がとても合うからだ。

岩絵具は岩石を砕いて造られているので、建物自体に使われている材料と同じだ。

下記の画像を、みていただきたい。

これはある教会を描いた作品の床面や柱部分を拡大したところだ。

そして、

よりリアルな、「石がそこにある」感じがしないだろうか。

顔料の石の輝きが、すなわちモチーフそのもの材料の輝きとなっているのだ。

荒い粒子の岩絵具を何十層にも重ねているが、色がにごるどころか、むしろ、キラキラと重厚な趣をもって発光しているように輝いて見えるのだ。、

まるでそこに存在するモチーフとなって目の前にあらわれるように、、。

もともとの原料が同じせいか、古き重厚な建物につかえる色、いくつも石壁と同じような色の顔料がある

このように、建築物を描くうえでとても使い勝手のよい岩絵具である。

これからも建物の材料を意識しながら、荒い岩絵具をたくさん用いて、絵画ではなく「建物そのもの」を表現していくようにしていきたいと思うのだ。

おすすめの記事