【霜光の朝 】 SMサイズ 岩絵具・麻紙
真冬の東北を訪ねた。
雪が降らない、みぞれや冷たい雨が降る関東の冬は、ぶるぶると芯から身を震わせ、耐えられない寒さを感じる。
一方で大雪に見舞われる東北は、寒いというより、頬にあたる風が冷たくてどこか気持ちいい。
私はそんな雪にさす少しだけあたたかな朝陽などが、いっそう心地よく感じられるのだ。
そんな温さと冷たさを感じる朝、秋保大滝の源流である名取川沿いを歩く。
パキッと凍った水面、白銀の褪せた色。東の空から鈍くあたたかな光がさす。
冬枯れの梢は物悲しだろうか。私は旺盛な万緑より、この冬の山水の風景が華やいで見えた。
葉をおとしたおかげで細く、こまかく分かれる末枝のさまがくっきりと見える。
その末枝にそっと積もる雪が微細な煌めきを放つ。
なんと繊細な自然の美だろうか。
目を細め、その反射したものを眺める。
美しい東北の自然、冬枯れの朝___。