ドロレス・パーク 2020,9 紙本彩色

霧の街といえば、ロンドンだろうか。

わたしは、サンフランシスコだと思う。

真夏だというのに、街は朝夕信じられないほど冷えて、冬じゃないかと思うくらいだ。

ダウンが必要なくらい、海風に凍える。

アルカトラズ島は、分厚い霧に覆われ、身を切るように渦巻く寒ざむしい海の色は暗い。

そんな霧深いサンフランシスコも、時節日中の晴れ間を見せる。

昼下がりのドロレス・パークは、市民の憩いの場として賑わっていた。

遠くのビル郡や山並みまでサンフランシスコの街を一望しながら、

こんなに晴れわたっていても、やはりこの街はうすい霧に覆われていることを感じた。

薄橙と薄水色の空気の層が一枚風景にかかっているようで、とても不思議な風景の色だった。

どこか、日本の風景の彩度の低さを思わせ、それでもやはり日本にはない異国の赤土と乾燥した大地の色を思わせるのだ。

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